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ヴォイニッチ手稿とは?解読不能の奇書に残された謎をわかりやすく解説

世界には、長い年月をかけても正体がわかっていない不思議な書物があります。

その代表的な存在として知られているのが、「ヴォイニッチ手稿」です。

見たことのない文字。

奇妙な植物の絵。

天体図のような図版。

浴槽や管のようなものに囲まれた人物たち。

一見すると中世の専門書のようにも見えますが、そこに書かれた内容は、現在もはっきりとは解読されていません。

この記事では、ヴォイニッチ手稿とは何なのか、どのような特徴を持つ書物なのか、そしてなぜ世界中の研究者や暗号好きの人々を惹きつけているのかをわかりやすく紹介します。

目次

ヴォイニッチ手稿とは?

ヴォイニッチ手稿とは、未知の文字で書かれた中世の写本として知られる書物です。

現在はアメリカのイェール大学バイネッケ貴重書・手稿図書館に所蔵されています。イェール大学の説明では、ヴォイニッチ手稿は未知の文字で、未知の作者によって書かれた15世紀の写本とされています。 

名前の由来は、1912年にこの写本を入手した古書商ウィルフリッド・ヴォイニッチです。

手稿の中には、植物、星座、天体図、薬草、人物、円形の図など、さまざまな挿絵が描かれています。

しかし、問題は文字です。

そこに書かれている文章は、既知の言語では読めず、暗号なのか、未知の言語なのか、あるいは意味のない記号なのかさえ、はっきりしていません。

そのためヴォイニッチ手稿は、世界で最も謎めいた本のひとつとして語られています。

ヴォイニッチ手稿の特徴

ヴォイニッチ手稿の大きな特徴は、文字と挿絵の両方が奇妙なことです。

文字は左から右へ書かれているとされますが、通常のヨーロッパ言語とは異なる独自の記号で構成されています。

また、多くのページには植物のような絵が描かれています。

ところが、その植物は現実の植物と完全には一致しないものが多く、実在する薬草図鑑なのか、空想上の植物なのかも議論されています。

ほかにも、星座や天体図を思わせる図、薬品や容器のような絵、浴槽のような場所に入った人物たちの図などが見られます。

英語版Wikipediaでは、手稿の内容は植物、天文学、入浴・人体、宇宙論、薬草・薬品、レシピのような部分に分類されることが多いと紹介されています。 

ただし、これはあくまで挿絵から推測された分類です。

本文が読めない以上、本当に何について書かれているのかは、現在も確定していません。

なぜ解読できないのか

ヴォイニッチ手稿が解読できない理由は、単に古い文字で書かれているからではありません。

古代文字や古文書であっても、比較対象となる言語や文法、同じ内容を別言語で書いた資料があれば、解読の手がかりになることがあります。

しかし、ヴォイニッチ手稿の場合、その文字が何を表しているのかがわかっていません。

アルファベットのような表音文字なのか。

単語や概念を表す記号なのか。

暗号なのか。

そもそも意味のある文章なのか。

そこからして不明です。

さらに、同じ文字や単語のようなまとまりが繰り返し現れるため、完全なデタラメとも言い切りにくい面があります。

自然言語のような規則性があるようにも見える一方で、既知の言語とは一致しない。

この中途半端に“言語らしい”ところが、ヴォイニッチ手稿をさらに難解にしているのです。

ヴォイニッチ手稿は何の本なのか

ヴォイニッチ手稿が何の本なのかについては、さまざまな説があります。

よく語られるのは、薬草学や医学に関する本だったのではないかという説です。

植物の絵が多く描かれていることから、薬草図鑑や医療書のようなものだった可能性が考えられています。

また、星座や円形の図があることから、占星術や天文学に関係する本だったのではないかとも言われています。

中世ヨーロッパでは、医学、薬草、占星術が結びついて考えられることもありました。

そのため、ヴォイニッチ手稿も、身体や自然、星の動きに関する知識をまとめた本だったのではないかと考える人もいます。

一方で、暗号文書、錬金術の書、宗教的な書物、あるいは精巧に作られた偽物ではないかという説もあります。

ただし、どの説も決定的な証拠には至っていません。

つまりヴォイニッチ手稿は、「何が書かれているかわからない本」であると同時に、「何のために作られたのかもわからない本」なのです。

ヴォイニッチ手稿は本物なのか

ヴォイニッチ手稿については、昔から「精巧な偽物ではないか」という説もありました。

もし誰かが意味のない文字と奇妙な絵を組み合わせて作っただけなら、解読できないのも当然です。

しかし、手稿そのものが近代に作られた偽物だとは考えにくい面もあります。

羊皮紙の年代測定では、15世紀前半のものとされており、英語版Wikipediaでは、羊皮紙が1404年から1438年頃のものと放射性炭素年代測定で示されたと紹介されています。 

また、ブリタニカでも、ヴォイニッチ手稿は15世紀または16世紀に作られたと考えられる、未知の言語で書かれた挿絵入り写本として説明されています。 

もちろん、古い羊皮紙に後から文字を書いた可能性まで完全に消えるわけではありません。

それでも、少なくとも物理的な素材としては、非常に古い時代のものと見られています。

だからこそ、単なる現代のいたずらでは片付けにくく、謎が深まっているのです。

なぜヴォイニッチ手稿は人を惹きつけるのか

ヴォイニッチ手稿が人を惹きつける理由は、「読めそうで読めない」からです。

ただの白紙や、完全に意味不明な落書きであれば、ここまで注目されなかったかもしれません。

しかしヴォイニッチ手稿には、明らかに何かの体系があるように見えます。

文字は整然と並び、挿絵も一定のテーマに沿っているように見える。

本としての体裁は整っている。

それなのに、意味だけがわからない。

この状態は、人間の好奇心を強く刺激します。

「誰が書いたのか」

「何が書かれているのか」

「なぜ読めないのか」

「本当に意味があるのか」

こうした問いに答えが出ないまま、ヴォイニッチ手稿は何世代もの研究者や愛好家を悩ませてきました。

謎が完全に閉じているのではなく、少しだけ扉が開いているように見える。

だからこそ、人はその中をのぞき込みたくなるのかもしれません。

ヴォイニッチ手稿とオカルト的な魅力

ヴォイニッチ手稿は、学術的な謎であると同時に、オカルト的な魅力も持っています。

未知の文字。

正体不明の植物。

星や人体を思わせる図。

錬金術や占星術を連想させる雰囲気。

これらの要素が組み合わさることで、ただの古文書ではなく、「禁じられた知識が書かれているのではないか」と想像したくなる存在になっています。

もちろん、実際に魔術書であると断定できる証拠はありません。

むしろ、現実的には中世の知識体系や医療、植物学、占星術などに関係する本だった可能性が考えられています。

それでも、内容が読めないからこそ、そこに何が書かれていてもおかしくないように感じられます。

ヴォイニッチ手稿の不思議さは、まさにこの「わからなさ」にあります。

解読不能であること自体が、想像力を生むのです。

まとめ

ヴォイニッチ手稿とは、未知の文字と奇妙な挿絵で構成された、世界的に有名な未解読の写本です。

現在はイェール大学に所蔵され、植物、天体、人体、薬草などを思わせる図が描かれています。

しかし、そこに何が書かれているのかは、今もはっきりとはわかっていません。

薬草学の本なのか。

医学書なのか。

占星術の書なのか。

暗号文書なのか。

それとも、意味を持たない精巧な謎の本なのか。

答えが出ないからこそ、ヴォイニッチ手稿は今も人々を惹きつけています。

ページを開けば、そこには文字らしきものが並んでいる。

しかし、誰もその声を正しく聞き取ることができない。

ヴォイニッチ手稿は、沈黙したまま語り続ける、世界で最も不思議な本のひとつなのかもしれません。

参考・出典

  • Yale University Library / Beinecke Rare Book & Manuscript Library “Voynich Manuscript”
  • Yale University Library Digital Collections “Cipher manuscript”
  • Britannica “Voynich manuscript”
  • Wikipedia “Voynich manuscript”
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